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ビットコイン・仮想通貨にかかる税金として対象となる事象
基本的には仮想通貨で得をした分が所得税としてかかります。具体的な行為としては、下記の4つのケースです。
- 仮想通貨を購入し、後に値上がりしたので売却した。
- 仮想通貨を購入し、後に値上がりした時に仮想通貨を使って商品を購入した。
- 仮想通貨を購入し、別の仮想通貨を購入。別に購入した仮想通貨が値上がりした。
- ハードフォークなどにより新たな仮想通貨を得た後、売却・それによる商品の購入を行った。
これらの差額(仮想通貨の値上がり分)を計算し、年間20万円を超えると課税対象となります。
ビットコイン・仮想通貨による利益の計算方法は2つ
仮想通貨で得た利益の計算方法は、「総利益=売却総額ー(平均取得金額×個数)」で表されます。ここにある平均取得金額を求めるには、移動平均法と総平均法があります。これは国税庁のPDFにも記載があります。

移動平均法による計算
移動平均法は売買する度に計算します。

上記は分かりにくいので、リンゴの購入価格を例を挙げます。
- 昨日、リンゴを2つ500円で購入した。
- 本日、リンゴを3つ600円で購入した。
というケースでの移動平均法の計算結果は、
- 昨日の時点での平均取得価格は、500円
- 本日の時点での平均取得価格は、560円(=(500×2+600×3)/(2+3))
となります。このように、平均取得価格を随時計算していくわけです。平均取得価格が上がっているのは、購入する価格が上がっているのと同じ意味なので、価格相場が把握しやすいメリットがあります。
総平均法による計算
総平均法は年間分をまとめて計算します。

また、リンゴの購入価格を例を挙げます。
- 昨日、リンゴを2つ500円で購入した。
- 本日、リンゴを3つ600円で購入した。
- 年末まで何も購入しなかった。
というケースでの総平均法の計算結果は、
- 平均取得価格は、560円(=(500×2+600×3)/(2+3))
となります。総平均法は年末まで全く計算しません。年末に1度計算するだけです。順次計算する必要がありませんが、その時々の平均取得価格を知ることが出来ません。
移動平均法と総平均法はどちらが良いか?
移動平均法による計算は売買の度に計算を行うので、その時々の平均取得価格が分かるので損得が把握しやすいです。しかし売買する回数分の計算を行う必要があるので、頻繁に仮想通貨を売買する人には向いていません。逆に総平均法は1年間分を総額して計算するので、最後の1度だけ計算すれば良いわけです。つまり、
- 平均取得価格を常に把握したい方 → 移動平均法がおすすめ
- 取引する度に計算するのは面倒な方 → 総平均法がおすすめ
となります。
仮想通貨は総合課税(他の所得と一緒に合わせて)で計算する
最初に「年間20万円を超えると課税対象となる」と言いましたが、仮想通貨は他で得た所得と合わせて計算する必要があります。例えば、仮想通貨で得た利益が1万円だったとしても、他の仕事と合わせて年間20万円を超えれば、この1万円にも課税されることになります。
例えば、年間で給与所得が400万円で仮想通貨による利益が100万であったのであれば、合計した500万円として所得税を計算することになります。実際に下記の所得税の課税表を見ながら計算してみます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
500万円の税率は20%で、控除額は427,500円です。つまり、
5,000,000×0.2-427,500=572,500円
となります。
仮に給与所得が全くなくても、仮想通貨で500万円儲けたのであれば、
5,000,000×0.2-427,500=572,500円
と、同額の税金になります。
注意点:仮想通貨の損失は雑所得内では相殺できるが、他とは相殺できない
仮想通貨の盲点と言えるのが、損失の扱いです。実は、仮想通貨の取り扱いは雑所得に分類されます。この雑所得は、
- 雑所得内では損益を相殺できる
- 他(給与所得)とは相殺できない
という特徴があります。
雑所得内では損益を相殺できる
例えば、
- ビットコインで200万円儲けた
- イーサリアムで100万円損した
という場合には、仮想通貨の損益は100万円(+200万円-100万円)として計算して良い事になります。
他(給与所得など)とは相殺できない
雑所得と他(給与所得など)とは相殺できません。下記は国税庁の一文です。

例えば、給与所得が400万円で仮想通貨による損失が200万円だからといって、所得税の計算で200万円で計算していけないことになります。これは400万円で計算しなければなりません。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
ちなみに、この200万と400万の違いによる所得税の違いは
2,000,000×10%-97,500=102,500円
4,000,000×20%-427,500=372,500円
となり、税金を支払う額が270,000円も異なります。仮想通貨による損失が他の利益と相殺させることが出来ないわけです。仮想通貨の損失は全く報われないことを認識しましょう。
ビットコイン・仮想通貨にかかる税金のまとめ
いかがでしたか?ポイントとしては、
- 平均取得価格の計算は総平均法と移動平均法がある
- 総平均法は簡単に計算でき、移動平均法は大変である
- 給与所得と仮想通貨の利益を合わせて所得税の計算をする
- ただし損失は給与所得などとは相殺できない
といったところです。仮想通貨の税金に関しては、この4点を把握していれば十分でしょう。